2006年11月22日 (水)

怪談

あ~、もう最近めっきり「辛気臭いものを好む」と思われそうなラインナップ。
偶然なんだけど・・・そんな時期なのかな?刺激足りないのかな?


ということで、今日は「怪談」です。

正直「怪談」には興味がなかったのですが、
私が興味をもったのは作者のラフカディオ・ハーンです。
初めて彼の名前を耳にしたのは随分昔のことですが、例えて言うなら

「ずっと探していた財宝をようやく発掘し終えた時」みたいな(そんな経験ないけど
なんともいえない感動的な気持ちになったことを覚えています。



で、内容なんですけどね。
すごくいいです。

私、同じことをドナルド・キーン氏の文章からも思ったのですが
「日本の文化に傾倒した外国人」の日本語は、私たちの遣うそれより美しい。
そして、神秘的でありながら、日本人と違う色彩感覚があるなぁって。
(まぁ、読んだのは翻訳なので、この場合平井呈一さんの力も偉大)

短編をいくつもいくつも集めたものなのですが、
中では、ちょっと面白いオチのついている「かけひき」が一番好きですね。

ある罪人に物凄い呪いをかけられたお殿様が、
その呪いを回避するために、相手にそうとは思わせずに「かけひき」をするんですね。
超短編ですが、面白いです。


外国の怪談と言えば、ゾンビとかああいう「動く生き物」が復活する感じですが
日本の怪談は本当に趣が違う。
生き物なんだけど、例えば植物とかそういう「動かないもの」が何らかの思念で動く。
八百万の神様を持つ日本ならではだな、って思うわけです。
恐ろしくないです。
ただ、静かで、しなやかさを感じるお話ばかりです。
ああ、日本人に生まれてよかった!(こんな感性を持てて?)って思いながら読みました。


あ、あと「虫の研究」シリーズは最高に面白いです。
蝶・蚊・蟻と3作品載っていたのですが、どれも興味深いですね。
哲学者が書いた昆虫記って感じ。
蟻社会の組織力に、人間社会の倫理観とかを投影して書かれたような、
なんていうか・・・面白い。


最後にひとことなんですけど、
「食人鬼」っていうお話に(この話、切ないです)
「ジキニンキ」とルビが振ってありました。

「ショクジンキ」でなくて「ジキニンキ」。

意味は一緒なのに、なんて禍々しい響きなんだろう、「ジキニンキ」って。
驚きました。


怪談―不思議なことの物語と研究 Book 怪談―不思議なことの物語と研究

著者:ラフカディオ ハーン
販売元:岩波書店
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2006年11月16日 (木)

ムッドレのくびかざり

最近、ギラギラしたものやアバンギャルドなものばっかり見すぎてて
なんだか危険なかおり漂う(?)管理人だと思われるのがイヤ!


・・・というわけではないのですが、
やはりこうも続いたら、心が潤いを求めるらしい。

久しぶりに「ムッドレのくびかざり」をひっぱりだして読みました。


これは復刊版を買ったのですが、本当に素敵にワクワクするファンタジーです。
1962年にフィンランドで出版され、日本では1967年に翻訳されているそうです。
冒険モノでありながら「RPG」的なものではなく、なんというか
「小さな子供が、自分をとりまく小さな世界を飛び出した」という冒険もの。


少女ムッドレがお母さんに素敵なサンゴのくびかざりを貰います。
でも、そのサンゴのくびかざりをなくしてしまいます。
で、そのくびかざりの手がかりを持っていると思われる一角獣を探して、
彼女は冒険に出ます。


いいよね!!
こういうわくわく!!


子供の頃って、誰もが「自分だけの小さな世界」を持っていて、
それを飛び出すのって、すごくドキドキわくわくするものですよね。
振り返るとたいしたことないけど、あの時の自分には大冒険だったな・・・。
そんな懐かしい気持ちになれます。
児童文学にしては200ページくらいですし、そこそこ読み応えもありますが、
「子供の頃のキラキラした気持ち」を思い出すのが苦手な人にはお勧めできない
作品です。


魔女やトロル、川の主・・・。
色々なキャラクターが出てきますが、全て愛すべきかわいいキャラクターで
描かれています。

40年前の彼らは、勝手な人間に失望しはじめてはいるものの、
まだまだ疎まれたり、怖がられたりする存在じゃなく、
今よりずっと身近に感じられるような存在だったんだな、というのがうかがえます。


ムッドレのセリフ

「今行かなかったら、あたしたち一生悔やむことになるわ。そして、あの時
行っていたらどんなぼうけんができたか、ずっと思い続けることになるのよ」

というセリフは、本当にドキッとします。
子供時代に読んだら、ワクワクをかきたてるセリフだったのでしょうが
今読むと、それは「まだチ
ャレンジできるでしょ」っていう叱咤のセリフにも思えます。


あと、今は過保護な親の多い中で、
最後にでてくるムッドレの両親の素敵なこと!

子供の冒険を温かく見守り(まぁ、気づいてなかったんだけど)
心配しつつも、口を挟まない(でも応援におやつを出しておいてくれてたりする)
子供を授かったら、こんな親になりたいなぁ・・・。


「・・・だから、あなたは何か大事な御用ができて、ひとりにしてほしいのかな
と思ったの。でもきっとどこか近くに隠れているんだと思ったの。そういうことを
して私たちに心配をかけないようにするなんて、とってもあなたらしいんだもの」


素敵素敵!!

こころが洗われます。
親子の信頼関係、愛を感じます。

都会ですりきれかけた心に、一服の清涼剤ですね。


ムッドレのくびかざり Book ムッドレのくびかざり

著者:イルメリン・サンドマン=リリウス,木村 由利子,ベロニカ・レオ
販売元:フェリシモ
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2006年11月12日 (日)

本当に、本当に。
この人の書く文章は、すごい。
凄すぎます。

なんなんでしょう?
脳内に4次元ポケットでもあるのでしょうか?

安部公房、それから夢野久作、(ひとくくりにしちゃって、好きな方すみません)
・・・何者??
って感じですね。
その発想にもそうですが、たまにその表現にシビレちゃうぷりしらなのです。

だって「世界の果てがどんどん追いやられてしまって、追い詰められて一点に集まった」
とか「液化した労働者は次第に低いほうに流れ出した」なんて、脳のどの部分を使って
思考したら、そんな表現が沸いてくるのでしょうか?


この人の、特にこの作品は、衒学的なものの苦手な人には結構辛いと思います。
私も、そういうものが「すっごく好き」なわけではないけれど、
頑張って読んだですよ。

一番読みやすいのはですね、
第3部の「魔法のチョーク」です。

「世にも奇妙な物語」レベルのゆったり感で十分読めるので、
本の苦手な人には良いかもしれません。

ちなみに、このストーリィだけさっくり紹介すると、
「妖しい魅力を放つ マッチ売りの少女的話」
です。

主人公はある日、自分の持つチョークが
書いたものを具現化する魔法のチョークであるということに気づきます。
彼は貧しい画家なんですが、彼がどんなことにそのチョークを使うか・・・
ということが見所です。

欲しいものは何でも手に入っても「その世界を出て行けない」ジレンマと、
その結果がもたらす哀しい結末に、やはりシビレちゃいます。

私の頭のデキはそれほど良くないので
こういう「きゃ~シビレる~~!!」っていうお話を読んでも、
すぐにお話が脳内をすり抜けて行って、中々残らないんですね。情けない。

でも「安部公房」はたまに読みたくなる作家の一人であり、
彼の文章を読みたくなるときって、意外と幸福で満ち足りた時であるということは
私の心の中から抜けることはありません。



壁 Book

著者:安部 公房
販売元:新潮社
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砂の女 Book 砂の女

著者:安部 公房
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2006年6月19日 (月)

細雪

こんなに美しい話だったか、と感動しました。
背表紙に「絵巻」という言葉が遣われていたけれど、まさに言い得て妙。


この本は、私には「原点」ともいえる本。
小学6年生のクリスマス、父がくれた本です。
それまで、ライトノベルや推理小説・SFばかりだった私が
「文学」に触れるきっかけとなった本。
もらってすぐ1度読んだままで、なんとなく再読のきっかけがなかったんです。
あの頃は、谷崎の素晴しい語彙力に圧倒されて、
新しい言葉を知る楽しさや「伯林」「西班牙」などの地名漢字などを
覚える事が楽しかった。内容は正直うっすらしか覚えてなかったんですけど。

私はいつの間にか、
妙子の歳をも追い抜いて、雪子の歳に近づいて、
彼女らの生き方が多少也なりと分かるようになってきたんだなぁ、というのが
少し不思議な気持ちです。


昭和30年代頃の関西。
没落したけれども名家であった「蒔岡家」の4姉妹、
その鶴子・幸子・雪子・妙子、とりわけ雪子・妙子に起こる出来事を
共に生活する幸子一家の出来事と織り交ぜながらつづった話です。

鶴子はあまり出てこないですが、
没落前のバブリーな家を経験しているので家名にこだわり、
ゆったりしたマダム生活をしている幸子、
選り好みしてしまったがために、また妙子の起こした事件によって婚期を逃し、
30歳を超えたのに保守的な考えも影響し、「貰い手」もない雪子、
自由奔放に生き、その為に辛い事にも出会いながらもその生き方を捨てられない、
1番「現代的」な妙子。
ことに、雪子と妙子との対比が見事で、長い話も飽かず読み続ける事ができます。

細雪 細雪

著者:谷崎 潤一郎
販売元:中央公論新社
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あの、戦前ぎりぎりの時代って、そんなに身分とか言われてたんだ、
なんて、改めてため息。

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2006年5月22日 (月)

古事記

古事記、好きです。
特に「上つ巻」(というか、中以下はあまり関心が無いんですけど)、
色んなことを考えさせられます。
それは多分、私が何の専門家でもなく「自分の思うように」読み解くからで、
専門家が聞いたら


フン!ばっかじゃないの??ヽ(#′Д`)ノ

みたいな読み方してるからなのかもしれませんけどね。
まぁ、古文ですから、そんなのもまた一興。


で、ですね。
まず古事記が楽しいのは


あ~色んなものから神様生まれて楽しいなぁ (●´∀`)

ってことです。

まず最初に天の御中主の神、高御産巣日の神、神産巣日の神。

で、もわもわしている、所謂「カオス」状態の世界に更に神々が生まれていきます。
伊耶那岐、伊耶那美の神が生まれ


上の件、国の常位の神より下、伊耶那美の神より前を、あはせて
神代七代と称す。


っていう件が、何だか神々しく感じて凄く好きなぷりしらです。


後ですね、色々考えちゃうのはやはり、
子水蛭子(みこひるこ)が生まれる部分。
コレに関しては、確か学生時代の社会福祉学の授業で


「子水蛭子(みこひるこ)は日本で一番古い障害者の概念」ということを教わったので、

いつも慎重に読んでしまいます。
なんで、蛭子が生まれてしまったのか、なぜ捨てられてしまったのか、という事。

その辺が、私が古事記を好きな理由であったり、
嫌いな部分であったりするような気がします。

現代語訳 古事記 Book 現代語訳 古事記

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楽しい古事記 Book 楽しい古事記

著者:阿刀田 高
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2006年5月14日 (日)

海神丸

この本は何度読んでも「読後に虚脱感で一杯になる」本です。
ぐったりしてしまいます。
今日も、覚悟して臨んだのに、決意むなしく読後20分間呆けていました。

あたかも、話の中で、乗組員達と共に緊張の糸を張りながら過ごしてきて、
ようやく終わった時に安堵にも似た緩みで、思考能力が消し去られたような。
そんな呆け方。


この小説は昭和22年に中央公論で発表された野上弥生子作の「小説」。
題材となった遭難事故は大正6年に起こったもので、
それに遭遇した人の話を、作者の弟さんが筆記し、作者によって書き起こされた「小説」。
ただ「小説」というにはあまりに「リアル」で、
「ドキュメント」にしてはあまりに哀しいのです。
作者の力強い文章筆致が、より一層のリアリティを生み出しています。

大分県のある港を「ほんの数日」離れて「島」に向かう予定だったある年末、
海神丸の船長、乗組員の三吉、八蔵、五郎助は嵐にのまれて遭難。
小笠原よりはるか東の太平洋の真ん中で発見されるまでの物語。

剛毅で真っ直ぐな印象の船長。
その甥にあたり、船一番の若さの三吉。
札付きだったという、猛々しさを感じさせる八蔵。
そして。素朴な印象を受けるもののその弱さゆえに苦しんで気がふれてしまう五郎助。

彼らが「遭難」に遭ってしまったのは運命だったとして、
その結果は4人の個性によって「なるべくしてなった」といえる結果になります。
なんていうか、人間誰しも彼ら性質にあたるものを少しずつ抱えていて、
どの個性が「極限状態になった時」出てくるか、は判らないわけで。
私たちは小説を読みながら、海神丸の上で生きているんですよね。
あるときは「強さを持った」船長として。
あるときは「誰かを信じたかった」三吉として。
あるときは「自分の中の魔物を抑えきれなかった」八蔵として。
あるときは「自分の弱さに涙し、金比羅様を拝むしかなかった」五郎助として。


実際問題、自分がそんな状態に陥ってしまったら何処まで理性が保てるのかな
なんて、思ったりもする。
閉ざされた空間での疑心暗鬼が渦を巻いて、人を喰らう。
八蔵のように喰われてしまったら、嫌だ。
単純にそう思ってしまう自分が居ました。

あまりに薄すぎて、岩波以外の文庫では刊行されていないのね。
 少年少女文学館、でいいんやろか…(ФωФ;)

小さな王国・海神丸 小さな王国・海神丸

著者:谷崎 潤一郎,野上 弥生子,鈴木 三重吉
販売元:講談社
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Book 海神丸―付・「海神丸」後日物語

著者:野上 彌生子
販売元:岩波書店
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2006年5月13日 (土)

ひとのご縁ででっかく生きろ!

夫の持っていた本をチラ見。
すごく字も大きくて、内容も読みやすいので1時間くらいで読めちゃいました。


1つ意外だったのが、著者が若い人だったということ。
自分の交友関係の中で、自分より少々上の世代にこんなに「人と関わる」のが
好きな人があまり居なかったもので、意外性を感じただけですが。



1章 人の心は、足で歩いてつかめ

2章 尊敬する人のご縁で、人生が濃くなる

3章 「人たらし」の本質は、人を喜ばせること

4章 人を育てることは自分が育つ事


この4章で構成されていて、意外とどの年代の人にも読みやすでしょう。
共感を抱く人と「そういう見方もあるのね」と驚く人といると思います。

私はどちらかというと前者でした。

失礼ながら

「私みたいな人が居る ( ´艸`)ププ 」

・・・って。

何処に共通項があったかというと、まず「新幹線で隣になった人と話す」
それからお店の「店員さんのお勧め」を聞いて注文する・・・などなどなど。

私もやってます!!みたいな・・・(笑

お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ! お金でなく、人のご縁ででっかく生きろ!

著者:中村 文昭
販売元:サンマーク出版
Amazon.co.jpで詳細を確認する

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